ジョン・カーターのライヴァルたち


Gulliver of Mars
(Original Title : Lieut. Gulliver Jones)
A Long-lost classic of Martian adventure
Edwin L. Arnold
エドウィン・L・アーノルド


Cover Art by Roy Frank frazetta

ACE/SCIENCE FICTION CLASSIC/F-296/P224/$0.40

comment/コメント

 小林さんの『ERB資料館』や鏡明氏のエッセイでおなじみになりつつある『火星のプリンセス』の先駆けのひとつ、『火星のガリバー』です。鏡氏は否定しているが、バローズ研究の代表的人物のひとりであるリチャード・A・ルポフが「これこそネタ本」と連呼した効果で、伊藤典夫氏なんかまで「アメリカのスペースオペラの元祖」なんて吹いちゃってる。わたしは絶対違うと思いますけど。バローズがこれを読んでいたかどうかさえあやしいのではないかと、思います。共通項は火星にいっちゃった軍人さんのお話、というだけだもの。ガリバーというタイトルからして異世界見聞録を目指したと思われる本書こそ、マネっこなんであって、バローズの元祖は他にいくらでもある。バルスームが火星だなんてことは、『火星のプリンセス』の時点では真実かどうかさえあやしいことになっているのだ。火星なんて、英語名がローマ神話の軍神と同じ名前だから舞台に選ばれただけなんだし、異世界冒険譚、剣を持った騎士とお姫様の物語なんて、昔からいくらでもある。赤色人のデジャー・ソリスがポカホンタスの写し絵であることは明らかなので、そうした意味ではウェスタンも間違いなく混ざっていると思うが。
 本書の序文は上記の『資料館』で小林さんの訳で読むことができる。興味を持たれた方は読まれればよいかも。

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