ERB作品感想文集


『火星の古代帝国』

創元推理文庫SF「火星の古代帝国


火星の古代帝国を読んで・・・・
       ガソールの女神のような、ラナへ・・・

By おかぴー

ラナ、ラナ、ラナ・・・・お願いだから、愛をもてあそばないで・・・
パン・ダン・チーは、あなたのことを、とっても、愛しているのだから・・・

あなたは、若く美しく、あなたの、足元には、バルスームで、最高の名家の剣が、何本も置かれている。
自他ともに認める、ジャスーム・バルスーム両世界における、最高の剣士であり、ヘリウムのプリンスであり、火星の大元帥でもあるジョン・カーターと、比類なきヘリウムのプリンセスであるデジャーソリスの血をひくあなたは、誇り高く、あなたの愛を勝ち取るには、なみたいてい男では無理かもしれないけど・・・・

あなたの、おじい様は、ご自分の高い身分に安住することもなく、ひとりでも、冒険の旅に出てしまう、自由な魂を持つ御方・・・
行く先々で、風を巻き起こし、危険な目にあっている者がいれば、自分の危険も、かえりみず、助けに行く御方・・・
情け深く、たとえ、敵でも、その人が、高潔な心をもつなら、むやみに、命を奪ったりは、しない御方・・・
それでいて、どうしても、強い敵と戦って自分の剣の腕前を見せたくなってしまう、やんちゃ坊主のようなところをいつまでも、持っている御方・・
あらゆる場所で、男の方の賞賛だけではなく、バルスームの美しい女性方にも、愛されてきた御方・・・
だけど、最高の剣士も、女心というものだけは、苦手で、彼を慕う女の方々に困るときには、愛する妻、デジャーソリスに、事態を収拾してもらったりしている、甘えん坊さんの御方・・

そんな、すばらしいおじい様を持つあなた・・・
それに、あなた自身も、勇敢な女性・・・
姿形だけでなく、高貴な魂を持つあなた・・・
どんな、危難に遭おうとも、恐れをしらない人・・
剣も使うし、飛行艇の操縦も思いのまま・・
愛してもいない男と結婚するくらいなら、相手のあばら骨の間に、短刀を刺すくらいのことをやりかねない人・・・

だから、ラナお願い・・・
パン・ダン・チーの気持ちをうけとめてあげて・・・
愛の技巧を使わないで・・

彼は、自分の国を愛していたし、自分の国の風習からも、のがれられなかった。
それでいて、自分の命を助けてくれた、あなたのおじい様のために、自分の命を捨ててもいいと思った・・まじめすぎるくらい、まじめで、融通のきかない人・・

ジェッタンの、あなたの駒を見てから、あなたに恋をしてしまった、パン・ダン・チーは、あなたのためなら、死ぬのさえいとわない純情を捧げちゃったのだから・・

あなたのためなら、自分の祖国も、捨てたし、恐ろしい食肉動物バンスにも、短剣ひとつで、とびかかったし、(もっとも、バンスを倒したのは、あなたの、おじい様だけど・・)

あなたのはなつ、言葉ひとつ、ひとつに心を揺り動かされて、喜んだり、ふさぎこんだりしてる彼・・

でも、あなたのおじい様も、冷たいですわね。
昔のご自分のことを思ったら、もう、ちょっと、彼にやさしくしてあげても、いいのに・・
知らん振りしてるのですもの・・
もっとも、そんなことをしたせいか、あとで、ロハスのことで、悩んじゃうはめに、なってしまって、私は、少しだけ、いい気味って思ってしまったけれど・・

ラナ・ラナ・ラナ、でも、やっぱり、あなたは、心のやさしいプリンセスだったのですね。
自分を助けるために、重傷をおおったパン・ダン・チーのために、涙を流したのですから・・
あなたは、それまで、どんなに、危ない目にあっても、どんなに、辛い目にあっても、涙を流さなかったのに・・

あなたの、偉大なるおじい様、五つの帝国の皇帝から授けられた皇帝の中の皇帝と、バルスームの大元帥という称号を持つジョン・カーターには、およばないかもしれませんが、パン・ダン・チーが、あなたを愛するがゆえに遭遇した危険や、数々の浮沈に、ついに、あなたは、答えてあげたのですね。

きっと、あなたと、彼の結婚式は、おじい様を初め、多くの方々に、喜びをもって、祝福されることでしょう。そして、その席では、あの比類なきプリンセス、デジャーソリスが、彼女の大好きな壮麗なバルスーム・ダンスをおじい様と、踊られることでしょうね。
そして、あなたも、あなたの手を愛する族長様がとり、愛と婚姻の絆で結ばれている、すばらしい一族の一員として、婚礼のダンスを踊ってくださると、思います。
どうぞ、いつまでも、バルスームの空の下で、おしあわせに・・・・

ジャスームの空の下のおかぴーより

P.S.ところで、タン・ハドロンは、まだ、おうちに、帰れないのかしら?


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