ERB評論集 Criticsisms for ERB


加藤直之「武部さんと火星シリーズがぼくの生みの親だ」

スターログ武部本一郎の剣と魔法世界より

Jan.1980


 何よりもうれしいのは、いま書いているこの文によって、ぼくが武部本一郎の大ファンであることを世間一般に知らしめることができることである。さらにファンの心理として、他のファンよりも、ぼくの方がもっともっとファンなのだと、いじらしい気持ちさえいだいていることを武部さんに知ってもらえることもうれしい。
 ぼくがSFのさし絵を描くとき、文に忠実にリアルに、少しでも読書の助けになるようにと目指すのは、火星シリーズの数々のさし絵を見たときのあの感動を忘れられないからである。また少しでも、よりよいカバーを本につけようと考えるのは、学生だった当時まだ火星シリーズが全部刊行されておらず、書店で、ほんとうに毎月、5つほどの書店をめぐり歩いてやっと最新刊を見つけたとき、どの本屋のどのあたりにどう置いてあったか、その総てをおぼえているほどすばらしかった武部さんの絵を忘れられないからである。
 早川書房と野田さんがぼくの育ての親なら、創元SFの火星シリーズと武部さんは、ぼくの生みの親、と感謝している


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