SF恐怖シリーズ5

地底人間
秘密の怪獣境
At the Earth's Core(1922)

Illustrated by Hisao Saito

南山宏:訳/斎藤寿夫:画/南山宏:解説 秋田書店/SF恐怖シリーズ5/1975.5.10初版/174頁


story/あらすじ

 若い鉱山ぬしデビッド・イネスは、老技師ペリーとともに、新しく開発した巨大な自動試掘機鉄モグラ≠ノ乗りこんで、その性能をテストする地底旅行をこころみました。
 ところが、出発してまもなくかじが故障して、“鉄モグラ”は二人を乗せたまま、地球の内部へ向かってまっしぐらにつき進みはじめたのです。二人の命ももはやこれまでとかくごしたとき、思いがけず試掘機は、明るい太陽光線のふりそそぐ大地の上にとび出しました。
 そこは、地球内部にあるがらんどう(空洞)世界──中央に小太陽の輝く、永遠のま昼の世界“ペルシダー”だったのです!
 地底世界ペルシダーは、巨大なシダ植物がおい茂り、おそろしい恐竜や大怪獣、そして石器をつかう原始人間のすむ、太古さながらの秘境でした。
 しかも、この地底世界の支配者ほ、恐竜でも人間でもなかったのです。二人がゴリラのような人間たちにとらえられて、奇怪な地中都市へつれていかれたとき、そこでほじめて出あった、身の毛もよだつ地底世界の真の支配者とは………!?

chapters/目次

第一章 地底の世界 第二章 恐怖の支配者 第三章 めざめる地底人間

history/初出

At the Earth's Core,Apr.1914,All Story Weekly Magazine
At the Earth's Core,1922,McClurg

comment/コメント

 予備知識がなければ、このタイトルから、『地底世界ペルシダー』だ、とわかる人はそうはいないのではないか、という感じですが、この秋田書店のSF恐怖シリーズという叢書は、他もこんな感じのタイトルで、ウェルズ「火星人間 宇宙大戦争」、ウィンダム「植物人間 地球滅亡の日」といった具合。知っている人なら、作者名から推測できるけど、なんだかなあ、という感じですね。
 そうはいっても、こうした図書館向けSF叢書が、昔は多く、また子供たちに人気だった。いや、その子供というのが若かりし日のわたくしな訳ですが。
 福島正実さんや森優(南山宏)さんといった、元SFM編集長の皆さんが、SFは中学生のものだぜとばかりに、こうした子ども向け叢書に多く加担してくれた、その成果なんですね。
 さて、本書、訳や解説はその南山宏氏、表紙・口絵・挿絵はハヤカワや創元でバローズのイラストをいくつか担当していた斎藤寿夫氏がつとめています。正直、訳文も絵も子ども向けという感じは否めませんが、今となっては貴重な本なので、引き続いて解説や口絵など、紹介させていただこうと思います。

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