ERB評論集 Criticsisms for ERB


空想科学小説誌 S-Fマガジン
スペース・オペラ特集

Illustrated by Kansei nakajima

早川書房/1966年8月臨時増刊号/通巻85号/266頁


 SFは、本来無限に拡大するイマジネーションを身上とする文学ジャンルです。それは実は、科学がいかに複雑多岐な発展を遂げ、


chapters/目次

特集 スペース・オペラ
ジョン・
カーター
火星の超巨人 エドガー・ライス・バロウズ/川口正吉訳
凶悪無比の敵モーゲルに恋人ソリスを奪われ、単身敵地に飛び込んだカーターの運命は?
キャプテン・
フューチャー
鉄の神経お許しを エドモンド・ハミルトン/野田昌宏訳
こともあろうに鉄人ロボットのグラッグがノイローゼ。冥王星の衛星に療養に出かけたが……
ノースウェスト・
スミス
シャンブロウ C・L・ムーア/安岡由紀子訳
蛇のようにのたうつ生きた巻き毛に包まれるやスミスの体は淫らな快楽にしびれて震えた!
ジェリイ・
カーライル
温室惑星 アーサー・K・バーンズ/深町真理子訳
いかに生け捕りの名人でも捕らえることのできない生物がいることを、彼女は認めなかった!
ファーディナンド・
ストーン
ロボット復讐鬼 エドワード・E・スミス/大野二郎訳
人類にとって代わるべく密かに計画を練るロボット群の存在に気づいた者は彼だけだった!
万国博がやってくる 眉村  卓
地震がいっぱい 豊田 有恒
五月の幽霊 石川 喬司
ゴースト・プラネット 福島 正実
上流社会 久野 四郎
新々パイロット・ショートショート 選者星 新一
大発明・誇大妄想狂・クソリアリズム・多元宇宙発生機・モスキート爆弾・残酷星人・
心・ある事業・雪男との会話・成功・オレだけが行く・一万年後の未来
新原子構造論 斎藤 守弘
日本SFのさきがけ・海野十三 大伴 昌司
楽しきかな宇宙漫画 星  新一
ビバ!スペース・オペラゲスト・エディトリアル 野田宏一郎
宇宙家族ロビンソン新テレビ映画紹介 福島 正実
スペース・オペラ
パロディ
大いなるスペース 水野良太郎 画
広瀬   正 案
世界異色トピックス 謎の体内物質
予言する人々
異世界からきた客 金星人と名のる男
宇宙怪物との対決
緑色の子供たち
メモ・66・6・30 福島 正実

comment/コメント

 創元推理文庫版『火星の巨人ジョーグ』に収録された表題作である中編の、本邦初訳版が掲載されている。この「スペース・オペラ特集」の背景としては、東京創元社の出版攻勢、さらには『火星のプリンセス』の大ヒットに刺激されて、というのが正直なところだったと思うが、編集長である福島正実氏の巻頭言にも「もちろん過去は過去であり、われわれは現在、そうした過去のバイタリティの、単純なリバイバルで満足することはできません」とあって、やむなく企画したことが伺える。しかし、その顔ぶれたるや見事。スペオペのアンソロジーを組むとしたら、どれを表題作にしてもおかしくない、ビッグ・ネームの名品揃いである(スミスは違うが)。SF勃興期であったことと選者の野田宏一郎氏の奮闘ゆえのラインアップだろう。
 ちなみにこの号は吉田正明さんより提供いただきました。ありがとうございます。

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