火星シリーズ9 MARS series 9

火星の合成人間
The Synthetic Men of Mars(1940)

Illustrated by Motoichiroh Takebe

南山宏:訳/武部本一郎:画/野田昌宏:解説 鶴書房/SFベストセラーズ/1975.07.01 初版/265頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 火星一の大科学者ラス・サバスは、自分がつくりだした合成人間にとらわれていた。救出に向かった火星大将軍ジョン・カーターと部下のボル・ダジはツーノルの大湿地帯で突然、怪鳥の背にのった奇怪な合成人間の群れにおそわれ、捕虜になった。なにしろかれらは、切っても切っても死なないのだ。ラス・サバスをつれて、二人はこのおそろしい国から無事に脱出できるだろうか。前途は死と危険にみち、実験槽からわき出る合成人間は、無気味にふえつづけていた……。

chapters/もくじ

物語のまえに
大将軍の使命
不死身の戦士
湿地帯の秘密
七王の決定
火星の支配頭脳ラス=サバス
生命の培養おけ
赤い暗殺者
ホルマッドになった男
ジャナイがいた
七王の争い
戦士の報酬
ジョン=カーターの失跡
怪物の出現
カーター発見
皇帝の命令
逃亡計画
うらぎりの島
夜の飛行
グーリの酋長
死の決闘
ファンダルへ出発
アモールの捕虜
おりのなか
動物園の王子
おりからの脱出
きけんへの飛行
大艦隊
モルバスへの帰還
肉塊の島
冒険のおわり

characters/登場人物

ジョン=カーター 地球から火星にやってきたアメリカの軍人。ヘリウム王国の王子で火星大将軍。知恵と勇気にあふれ、火星一の剣士として国民に尊敬されている。
ボル=ダジ ジョン=カーターの忠実な部下で、ヘリウムの貴族。正義感にあふれた剣の名手だが、みにくい姿に変身したため、ジャナイへの恋に悩む。
ジャナイ アモール王国の美しい少女。邪悪なジャル=ハド王子の魔手から逃れるが、次々と不幸にみまわれる。やさしいボル=ダジにひかれている。
ラス=サバス 火星一の大学者で名外科医。そのすばらしい才能と技術で生命の創造に成功するが、自分の作りだした合成人間ホルマッドに裏切られ、とらわれのみとなる。
アイマッド 不死身の合成人間ホルマッドの国の7人の王の一人。ラス=サバスに命じて大量の合成人間を作りだし、火星全土の征服をねらっている。

history/初出

The Synthetic Men of Mars,Jan.1939
The Synthetic Men of Mars,1940

comment/コメント

 これも中高生向け叢書だが、訳者は南山宏(もと早川書房編集部の森優氏のペンネーム)、イラストは武部本一郎で解説は野田昌宏というオールスター・キャスト。武部も、子供向けであること、2度目の仕事であること等で肩の力が下りたのか、結構いい仕事をしている。名場面集をつくる機会があったら、何葉か紹介したい。

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