ターザン・シリーズ1 TARZAN series 1

ターザン
Tarzan of the Apes(1912)

Illustrated by Naoyuki Katoh

厚木淳:訳/加藤直之:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元SF文庫 SFハ3-43/1999.08.20初版/398頁


story/あらすじ

若き英国貴族夫妻植が植民地への赴任のため乗り込んだ船で反乱が起こり、二人はアフリカ大陸の浜辺にとり残された。その地で赤ん坊が生まれるが、夫妻は死亡する。だが赤ん坊は現地の類人猿に拾われ、彼らの仲間として、そして仲間よりも遙かに優る知恵を武器に、たくましく成長した。彼こそは、密林の王者ターザンである。そしてある日、彼は浜辺の小屋に、人骨と、そして本を発見する……。折りしも浜辺には、白人たちの探検隊が兵士たちをともなって上陸した。一人の野生児の数奇な運命を描く、20世紀最高の冒険作家、E・R・バローズの傑作!

chapters/目次

  1. 出帆
  2. 野蛮な土地
  3. 生と死
  4. 類人猿
  5. 白い類人猿
  6. ジャングルの戦い
  7. 知識の光明
  8. 樹上のハンター
  9. 人間と人間
  10. 恐怖のまぼろし
  11. “類人猿の王者”
  12. 人間の理性
  13. 同じ人種
  14. シャングルのなすがままに
  15. 密林の神
  16. “世にも稀な”
  17. 埋葬
  18. ジェーンの失踪
  19. 原始人の呼び声
  20. 遺伝
  21. 拷問の集落
  22. 捜索隊
  23. 盟友
  24. 失われた財宝
  25. 文明の前哨基地
  26. 文明の極致
  27. 再会
  28. 終局

characters/登場人物

ターザン 主人公。密林で育った遺児
ジョン・クレイトン 英国貴族、グレイストーク卿。ターザンの父親
アリス クレイトンの妻、ターザンの母親
カーチャク 類人猿の群れの長
カーラ 類人猿。ターザンの育ての親
タブラット 類人猿。カーラの夫
ターコズ 類人猿。タブラットの息子
アーキミディーズ・Q・ポーター教授 アメリカ人の学者
ジェーン ポーター教授の娘
サミュエル・T・フィランダー ポーター教授の秘書兼助手
ウィリアム・セシル・クレイトン グレイストーク卿。ターザンのいとこ
エズメラルダ ポーター家の小間使い
ダルノー中尉 フランス軍人
ロバート・キャンラー アメリカ人実業家

history/初出

Tarzan of the Apes,Oct.1912,All-story magazine
Tarzan of the Apes,1914,A.C.McClurg

comment/コメント

 噂はあったが、ついに出た! という感の強い厚木訳『ターザン』である。現時点(1999年8月)では続巻の有無がはっきりしていないのがつらいところだが、ERBファンならば誰もが望んだ夢の取り合わせ、というべきだろう。これでイラストが武部本一郎氏だったら……というのは、いわない約束、というべきか。
 厚木訳の特徴としては、とにかく読みやすい、ということに尽きる。ERBとの取り合わせがよほどいいのだろう。ただ難をいうなら読みやすすぎ、特に会話文が砕けた表現になっていて、高貴な野蛮人としてはどうか? という気もしないではない。
 〈火星シリーズ〉のあとがきでは否定的な評価を下していた厚木氏のこと、あとがきが楽しみだったが、本作とSF性の強い作品以外は評価を下げる、ということらしく、そういった点では首尾は一貫しているか。
 イラストはハヤカワ版でも何冊かターザンを描いている加藤直之氏。著作権の関係で表紙を紹介できないのが残念だが、表紙の色使いがジョン・アレン・セント=ジョンを連想させ、いい雰囲気を出している。合本版と同じく黒でしめた表紙はかっこいいが、少し寂しい感がなくもない。
 とかくファンは贅沢だということで、もし厚木さん、加藤さんがこの文を読むことがあったとしても、悪くは思わないでほしいなあと願っているのだけれど、もうおそいかな?

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