Illustrated by Motoichiro Takebe
Tarzan series volume 1:"Tarzan of the Apes"
この絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています
series list/シリーズ・リスト
"Tarzan of the Apes",1914 A.C.McClurg
『全訳 ターザン物語〔1〕出生の巻』小山書店/西條八十:訳/1954.07
『ターザン(1)密林の王者、なぞのおいたち』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画
『ターザンの冒険』小学館/小学4年生2月特別号付録/西條八十:訳/飯塚羊令児:画/1955.02
『ターザンの生い立ち』河出書房,1955
『類猿人ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF101/高橋豊:訳/武部本一郎:画/1971.08
『密林の王者ターザン』小学館/少年少女世界の名作16・アメリカ編6/三井ふたばこ:文/中西立太:画/1974.01
『密林の王者ターザン』朝日ソノラマ
『ターザン』創元SF文庫 SFハ3-43/厚木淳:訳/加藤直之:画
"The Return of Tarzan",1915
『ターザンの復讐』ハヤカワ文庫特別版SF102/高橋豊:訳/武部本一郎:画
『ターザン物語〔2〕帰郷の巻』小山書店
『ターザン(2)スパイからの挑戦状!』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画
『ターザンの帰還』創元SF文庫SF3-44/厚木淳:訳/加藤直之:画
"The Beasts of Tarzan",1916
『ターザンの凱歌』ハヤカワ文庫特別版SF103/高橋豊:訳/武部本一郎:画
『ターザン物語3 ターザンの怒り』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画
"The Son of Tarzan",1917
『ターザンの逆襲』ハヤカワ文庫特別版SF104/長谷川甲二:訳/加藤直之:画
"Tarzan and the Jewels of Opar",1918
『ターザンとアトランティスの秘宝』ハヤカワ文庫特別版SF105/高橋豊:訳/武部本一郎:画
『ターザン(3)野生のプリンセス、ジェーン』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画
"Jungle Tales of Tarzan",1919
『ターザンの密林物語』ハヤカワ文庫特別版SF106 /高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Untamed",1920
『野獣王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF107/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Terrible",1921
『恐怖王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF108/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Golden Lion",1923
『長篇怪奇小説 人か獅子か』中學世界大正十四年
『ターザンと黄金の獅子』ハヤカワ文庫特別版SF109/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Ant Men",1924)
『ターザンと蟻人間』ハヤカワ文庫特別版SF110 /高橋豊:訳/武部本一郎:画
『ターザンの双生児』ハヤカワ文庫特別版SF111/高橋豊:訳/武部本一郎:画(20.と合本)
"Tarzan, Load of the Jungle",1928
『密林の王者ターザン ターザン物語』河出書房ロビン・ブックス27/大久保康雄:訳/武藤弘之:画 1955.11.25
"Tarzan and the Lost Empire",1929
『ターザンと失われた帝国』ハヤカワ文庫特別版SF113/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan at the Earth's Core",1930
『地底世界のターザン』ハヤカワSFシリーズ3192/佐藤高子:訳
『地底世界のターザン』ハヤカワ文庫SF25/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『ターザンの世界ペルシダー』創元推理文庫601-22/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Invincible",1931
『無敵王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF115/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan Triumphant",1932
『ターザンと呪われた密林』ハヤカワ文庫特別版SF125 /長谷川甲二:訳/加藤直之:画
"Tarzan and the City of Gold",1933
『ターザンと黄金都市』ハヤカワ文庫特別版SF117/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Lion Man",1934
『ターザンとライオン・マン』ハヤカワ文庫特別版SF118/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Leopard Men",1935
『ターザンと豹人間』ハヤカワ文庫特別版SF119 /長谷川甲二:訳/加藤直之:画
『ターザンの双生児』ハヤカワ文庫特別版SF111/高橋豊:訳/武部本一郎:画 (11と合本)
"Tarzan's Quest",1936
『ターザンの追跡』(未訳・仮題)
"Tarzan and the Forbidden City",1938
『ターザンと禁じられた都』ハヤカワ文庫特別版SF121/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Magnificent",1939
『ターザンと女戦士』ハヤカワ文庫特別版SF122 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/25,26と合本)
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/24,26と合本)
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/24,25と合本)
『ターザンと外人部隊』(未訳・仮題)
『ターザンと狂人』ハヤカワ文庫特別版SF124/矢野徹:訳/武部本一郎:画
『ターザン:失われた冒険』(未訳・仮題)
シリーズ番外編
"The Eternal Lover",1925
『石器時代から来た男』創元推理文庫601-26/厚木淳:訳/武部本一郎:画
comment/コメント
ターザンといえば『ア・ア・アー』と奇声を上げて木から木へと移り歩く腰簑だけの筋肉男のイメージはないだろうか? あるとすればそれは、ヒットを重ねたハリウッド映画と、「ターザンごっこ」と呼ばれる幼児遊びの影響が強いものと思われる。原作のターザンはもっと人間くさい人物であり、その物語もまた多様なおもしろさをもっているのだということを知ってほしい。
時は19世紀末。英国貴族グレイストーク卿ジョン・クレイトンは妻とともに赴任先に赴く途中、船員たちの反乱にあい、暗黒のアフリカ大陸の片隅の未開の地に取り残される。そこで産まれた子供は、両親の死とともに一匹の雌の類人猿カラに拾われ、ターザンと名付けられて密林の中でたくましく成長していく。彼はしかし類人猿ではなかった。彼の体を流れる人間の血は、彼を両親の遺品に向かわせ、やがて両親の遺した本から言葉を覚え、人間としての成長も遂げていく。そんな彼の前に、美しい人間の娘、ジェーンがあらわれた。彼女を愛するようになったとき、ターザンは人間として育てられなかったこととのギャップに悩むことになる。
人間のありようを描いた作品として一級品の出来。映画はあれで代表的なアメリカの生んだヒーローの一人(コミック・ヒーロー『スーパーマン』と並ぶムービー・ヒーロー)として、その名をとどろかせているわけで、別の評価をしてあげればいい。映画『グレイストーク』が原作のイメージで作られた、といわれていたけど、ピントはかなりずれていた。映画のターザンは立派に確立されたキャラクターだったのであり、そのイメージを越えるのは至難の業であった、ということなのだろう。読み方としては、個人的にはバローズ入門編としてはまず〈火星シリーズ〉や〈地底世界シリーズ〉を読んでもらいたいと思う。ただし小説としての評価をするならば、この〈ターザン・シリーズ〉第1作は近代アメリカ文学の中に位置づけられるべき作品であると、個人的には考えているが。それと、もしこの〈ターザン・シリーズ〉を読むんだったら第1作と第2作を、まずは読んでもらいたい。そして巻数が1桁台の作品群を。シリーズ後半の「秘境もの」と呼ばれる作品群も、あれはあれで水戸黄門の道中のようないい意味でのマンネリがあるんだけれども、最初に読んでしまうと、なかなか高い評価は与えづらいかもしれない。
日本での出版状況のほうに話を移すと、映画が有名な割には邦訳は進んでいなくて、ついに完訳はならないままに終わりそうな雰囲気があり、残念としかいいようがない。やはり日本でのターザンはアメリカ映画の伝統的ヒーローであって秘境冒険小説の主人公ではなく、またバローズといえば『火星シリーズ』に代表されるSF作家としてしられてしまったということなのだろうか。ターザンのようなジャンルの作品を継続的に紹介している叢書(SFやミステリにおける早川書房、東京創元社のような存在)がないというのも痛いところ。最近では、第1巻だけがハヤカワ文庫SFの白背(かつての黄色地に赤文字での『特別版』ではなくなっている)となって残るのみのようだ。ターザンにSFのレッテルは必要ない、と言うよりはじゃまだと思うのだが、日本の出版事情を考えるとやむを得ないところなのか……。
書誌的な話の補遺としては、リスト中の出版年代は雑誌掲載等の初発表を重視したものに変更した。収録単行本については一段落として初版刊行時のタイトルと刊行年を表記してある。より執筆年代・発表年代を重視したリストとするための配慮なので、ご理解いただきたい。
講談社版は古本屋で見つけたものだが、3冊しか見あたらなかった。他には、幼少の頃読んだ小学館版は確か結末をハッピーエンドにして第1作目だけにとどめられていたように記憶している。
シリーズ構成の解説を付加すると、14巻は日本では(ターザンと比較して紹介が進んでいた)地底世界シリーズの第4巻として刊行されているため、版が多い。11と20は本国ではまずジュブナイル版の書き下ろしとして刊行されたが、その後、合本になって再刊された。日本語版はそれに依っているわけだが、合本にしても薄い。ジュブナイルゆえのことだろう。本国ではシリーズの本編に含まないことが多いようだが、日本語版では早川書房がシリーズに組み込んで刊行しているため、このホームページでもその立場を支持することにした。5はバローズには珍しい短編集だが、連作なので1冊の扱いとした。秀作揃い。27と28はバローズの死後発見され、雑誌掲載を経ずに単行本として刊行された。24〜26はシリーズ末期の中短編で、刊行は死後に短編集としてまとめられてからになった。29はバローズの死後発見された未完作品に加筆したもので、90年代になってからの新作ということになる。加筆者は角川文庫などでホラーの翻訳があるランズデール。
12、21、27はついにハヤカワ文庫に収録されなかったので、ながらく未訳作品と思われていたが、12に関しては遠く1950年代に邦訳があったことが明らかになった。したがって未訳のターザンは(バローズだけの筆ではない29をのぞけば)2編、ということになる。27は第2次世界大戦を描いており、反日小説として戦時中に紹介されたといううわさを聞くが、真偽のほどは定かではない。21は不老不死をテーマにした作品。
番外編では、ターザンがらみの他の作品をリストアップしてみた。1はタイムスリップもののSF作品(佳作!)だが、ターザン親子がゲスト出演しており、ヘインズなど古くからの愛好者はターザンかわいさでか(?)シリーズに含む判断をしていたようだが、最近ではそうした見方がされることは少ない。日本語版でも他のターザンものと異なり創元推理文庫SFマークからの刊行となっている。2はタイトルからして小説ではないのではないか? という気はする。本国のリストでも、入っている場合といない場合とがって、よくわからない。
日本における出版状況は、厳しい限りではあるが、そうはいっても、アメリカではいまだに新作TVシリーズや映画が作られたりするなど、ターザンというキャラクター自身はメジャーな存在なので、日本でも映画公開等があれば復刊や未訳2冊の翻訳も、可能性としてはあるのではないか、と期待しているのだが……。
あまいか?
と思っていたら、東京創元社が1999年、『ターザン』を刊行した。とりあえずはディズニーアニメ映画とのタイアップとはいえ、売れれば当然、続刊もあるだろうし、現に第2巻が『ターザンの帰還』の邦題で刊行された。こうなれば未訳2編にも期待はもてる。期待してまとう!
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