ターザン・シリーズ7 TARZAN series 7

野獣王ターザン
Tarzan the Untamed(1919-1920)

Illustrated by Motoichiro Takebe

高橋豊:訳/武部本一郎:画/森優:解説 早川書房/ハヤカワ文庫特別版SF107 /1972.08.31初版/365頁

この絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 1914年、世界大戦勃発。ナイロビで、余勢を駆ったドイツ軍の英領東アフリカ侵略を察知したターザンは、急遽農場へ戻る。だが、そこに待っていたのは、累々と重なるワジリ族の死体に混ざって、判別のつかないほど焼けこげ変わり果てたジェーンの遺体だった。にっくきドイツ軍! 怒りに燃えるターザンは敵陣深く潜入し、犯人をつきとめて復讐を果たすが、その心はむなしかった。最愛の人を失ったいま、彼は永遠に人間社会と決別する意志を固め、故郷のジャングル向けて旅立つ。目的地まで遙か数千マイル−そこには、人跡未踏の暗黒の処女地が彼を待ち受けていた。

chapters/目次

  1. 世界大戦
  2. ライオンの洞窟
  3. ドイツ軍陣地へ
  4. ライオンの餌食に
  5. 金のロケット
  6. 復讐とあわれみ
  7. 郷愁
  8. あいつは女だ
  9. 空からきた男
  10. 木から落ちた猿
  11. 別れる
  12. 黒人飛行士
  13. 報い
  14. 黒ライオン
  15. 謎の足あと
  16. 夜襲
  17. 城壁に囲まれた町
  18. 狂人の国
  19. 女王
  20. 捜索隊
  21. 奥の小さな寝室の中で
  22. 再会
  23. 脱出
  24. 救い

characters/登場人物

ターザン ジャングルの王者。英国貴族グレイストーク卿
ジェーン ターザンの妻
ハウプトマン・F・シュウナイダー少尉 ドイツ軍将校
フォン・ゴス少尉
キャペル大佐 イギリス軍将校
ハロルド・P・スミス中尉
ベルタ・キルヒャー 女スパイ
ウサンガ ドイツ軍を脱走した黒人軍曹
ナラツ ウサンガの妻
ゴーラト 類人猿
ズータグ
ヌマボ ワマボ族の酋長
ヘログ16世 ズージャンの国王
ザニア ズージャンの王妃。アメリカ人
メターク ズージャンの王子
オトプ ズージャンの黒人奴隷

history/初出

  1. An Eye for an Eye,Mar.1919,Red Book magazine
  2. When the Lion Fed,Apr.1919,Red Book magazine
  3. The Golden Locket,May.1919,Red Book magazine
  4. When Blood Told,Jun.1919,Red Book magazine
  5. The Debt,Jul.1919,Red Book magazine
  6. The Black Flyer,Aug.1919,Red Book magazine
  7. Tarzan and the Valley of Luna,Mar.20-Apr.17,1920,All-story Weekly magazine
Tarzan the Untamed,1920,McClurg

comment/コメント

 書史的には2種の雑誌にまたがって掲載された7編の中短編の合本ということになるが、内容は完全な長編だ。むしろ、つづく第8巻とあわせて連作長編と見なすべきかもしれない。主に発表の舞台としてきた「オール・ストーリイ」誌を離れて「レッド・ブック」誌に掲載した関係で原題が豊富なのだろう。途中で雑誌が変わって以降は従来通りに長編分載の形式となっている。まあこの影にはバローズ自身、先の展開をすべて決めて書いたわけではないという事情もあるようで、単行本化の際には内容の変更さえあったらしい。
 その内容だが、ジェーンの死を描いているという点で画期的だが雑誌と単行本の違いはこの点に顕著だとなると、さて……

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