月シリーズ2 MOON series 2

月人の地球征服
The Moon Men(1926)

Illustrated by Tohru Kanamori

関口幸男:訳/金森達:画/関口幸男:解説 早川書房/ハヤカワ文庫SF8/1970.10.31 初版/353頁


story/あらすじ

 西暦2050年、地球は月で25年を過ごした奸物オルチス少佐の率いる10万の月人兵士と謎の超破壊兵器との前に、なんら抵抗のすべなく征服されてしまった。そして1世紀――横暴残虐きわまりなき月人の圧制下、今はすべての文明を失い荒廃の極に達した地球に再び昔日の名誉と栄光を取りもどさんものと、ジュリアン家の若き後継者ジュリアン9世の決死の活躍が始まる! 巨匠バローズ畢生の傑作”ムーン・シリーズ”は、ここにいよいよその佳境をむかえ、意想外の結末へと息もつかせぬ展開を見せる。

chapters/もくじ

月人の地球征服
  1. 不思議なめぐりあい
  2. 徴税官スール
  3. ヘルハウンド
  4. 兄弟オル・チス将軍
  5. 市場での格闘
  6. 軍法会議
  7. 裏切られて
  8. ジュリアン八世の逮捕
  9. カッシュ・ガードをむち打つ
  10. 革命
  11. 屠殺屋
レッド・ホーク
  1. 星条旗
  2. エクソダス
  3. 最後の大決戦
  4. キャピトル
  5. ニッポン人サク
  6. ベセルダ
  7. ラバン
  8. 和合
  9. 平和

characters/登場人物

「月人の地球征服」
ジュリアン九世 英雄ジュリアン五世の血をひくたくましい若者
ジュリアン八世 ジュリアン九世の両親
エリザベス
フアナ ジュリアン九世に命を救われたうら若い娘
ジム ジュリアン家の隣に住む夫婦
モーリー
モーゼ・サミュエルズ 善良な老ユダヤ人
ピーター・ヨハンセン 月人と通じている裏切り者
オル・チス 横暴な新任司令官
プサヴ 月人の御用商人
ホフメイヤー カルカル人。プサヴの代理人
「レッド・ホーク」
ジュリアン二十世 “レッド・ホーク”の名を持ち100の部族を率いるジュリアン家の末裔
ヴァルチャー ジュリアン二十世の弟と妹たち
レイン・クラウド
ナ・ラー
ネエタ
ウルフ レッド・ホークに従う屈強な族長
正統オル・チス オル・チス家の正統の後継者
ベセルダ 正統オル・チスの妹
サク ニッポン族の族長
ラバン 伝説の巨人

history/初出

  1. The Moon Men,Feb.21 to Mar.15,1925,Argosy All Story Weekly Magazine
  2. Red Hauk,1925,Sep.5 to Sep.19,Argosy All Story Weekly Magazine
The Moon Maid,1926,McClurg

comment/コメント

 月シリーズ(というか、3部作)の第2部と第3部を合本にした1冊。バローズはまずこの第2部を書き、これを世に出すために前後に娯楽編を配置したという話が伝わっている。第3部は『火星のプリンセス』の冒頭や〈アパッチ・シリーズ〉とも通じる、西部小説。といっても舞台は遠未来の地球なので、開拓時代のアメリカを荒廃した地球に見立てたというところなのだろう。しかし、これだけの社会派SF(第2部)を含むシリーズの解説(第1巻)で「哲学がない」と書いた森優氏は、実は読んでいなかったんじゃないか? と疑ってしまう。

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