火星シリーズ3
MARS/Barsoom series 3


火星の大元帥カーター
The Warlord of Mars(1919)


Cover Art by Motoichiro Takebe

小西宏:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-03(703)/1966.02.04初版/274頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 ジョン・カーターの遠征により、バルスームに君臨した邪宗の女神イサスは粉砕された。しかしその前にイサスの奸策により、カーターをめぐる三人の美女が不気味な太陽神殿に幽閉されてしまった。いかにして、この難攻不落の神殿から彼女たちを助け出すか? 凄絶きわまりない大救出作戦は、ドール谷の緋色の平原から北極の大氷原の果てまで、火星を一周して延々と展開する。かつていかなる宇宙艦隊といえども、生きては再び生還したことのないという神秘の北極には、なにがカーターを待ち受けているのか?

chapters/目次

  1. イス河にて On the River Iss
  2. 山脈の地下 Under the Mountains
  3. 太陽宮 The Temple of the Sun
  4. 秘密の塔 The Secret Tower
  5. ケオル街道 On the Kaolian Road
  6. ケオルの英雄 A Hero in Kaol
  7. 新しい盟友 New Allies
  8. 腐肉の洞窟 Through the Carrion Caves
  9. 黄色人の中で With the Yellow Men
  10. 監禁されて In Durance
  11. 餓鬼道地獄 The Pity of Plenty
  12. 「ロープをたどれ!」 "Follow the Rope!"
  13. 磁石スイッチ The Magnet Switch
  14. 戦局の推移 The Tide of Battle
  15. 報酬 Rewards
  16. 新しい支配者 The New Ruler

characters/登場人物

ジョン・カーター 地球人。元南軍の大尉。デジャー・ソリスの夫
デジャー・ソリス 赤色人。絶世の美女。皇帝(ジェダック)タルドス・モルスの孫娘
スビア 赤色人。プタース皇帝(ジェダック)の娘
スバン・ディーン 赤色人。プタース皇帝(ジェダック)。スビアの父
マタイ・シャン 白色人。ホーリー・サーンの教皇
ファイドール 白色人。教皇マタイ・シャンの娘
サリッド 黒色人。ファースト・ボーンの貴族(ダトール)
サレンサス・オール 黄色人。オカールの皇帝。王者の中の王者
タルー 黄色人。マレンティナ公国の大公
トルカル・バル 赤色人。ケオルの貴族、ケオル街道の警備隊長(ドワール)

history/初出

Warlord of Mars, Dec.1913-Mar.1914, The All-Story
(original title:Prince of Helium,the Last of the John Carter Martian Stories)
The Warlord of Mars, 1919, A. C. McClurg

comment/コメント

 SF美術館のIOKAさんのはからいで、小西宏訳の版を入手することができた。感謝多謝。さてこの作品だが、ワーキング・タイトル(執筆時の題名)が『ヘリウムの王子――ジョン・カーターの火星物語完結編』となっていることからもわかるように、初期3部作の掉尾を飾る1冊で、カーターとデジャー・ソリスの物語はここに完結する。火星シリーズの基本設定も確立し、4巻以降では思う存分、ERBのペンはこの異世界譚を語っていくことになる。3部作の完成度は高いが、後続の巻が書かれたのはよかったと思う。

<<BEFORE |||NEXT>>


ホームページ | 作品リスト | 火星シリーズ / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11