火星シリーズ8 MARS series 8

火星の透明人間
Swords of Mars(1936)

Illustrated by Motoichiro Takebe

厚木淳:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-08 /1967.09.30初版/362頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 火星で猛威をふるう殺人請負業−秘密暗殺ギルドの討伐を決意した大元帥ジョン・カーターは、変名を使ってみずからその本拠地ゾダンガに潜入した。しかし敵もさるもの、暗殺ギルドはカーターの裏をかき、ヘリウムのプリンセス、デジャー・ソリスを誘拐して、火星の衛星サリアへと連れ去ってしまった。永遠の恋人を奪われたカーターは、敢然としてその救出に向かう。しかし衛星サリアは別世界だった。そこには不気味な透明人間とキャット・マンが住んでいた。巻を追ってますます佳境にはいる火星シリーズ!

chapters/もくじ

  1. アルシオのラパス
  2. ファル・シヴァス
  3. 夜の殺人
  4. 人工頭脳
  5. 飛行船
  6. 戸口の顔
  7. 嫌疑
  8. バルコニー
  9. ジャット・オール
  10. ガル・ナルの屋敷
  11. ファル・シヴァスの実験室
  12. 追跡
  13. サリアめざして
  14. サリア
  15. 見えない敵
  16. キャット・マン
  17. 死の宣告
  18. オザラ
  19. 脱出の試み
  20. ダイアモンド塔
  21. 暗黒の牢獄で
  22. 秘密の出口
  23. バルスームへ帰る

characters/登場人物

ジョン・カーター 地球人。ヘリウムの王子
ラパス アルシオ(ネズミ)とあだ名される卑劣漢
ファル・シヴァス 老発明家
ガル・ナル ファル・シヴァスに対抗する発明家
ウル・ジャン 暗殺ギルドの首領
ザンダ ファル・シヴァスの屋敷の女奴隷
ジャット・オール カーターの部下
アル・ヴァス タリッド皇帝
オザラ タリッド皇后
アラー オザラの女奴隷
アムカ マセナ人。キャット・マン

history/初出

Swords of Mars,Nov.1934-Apr.1935,Blue Book magazine
Swords of Mars,1936,Burroughs

comment/コメント

久しぶりに主役を張るジョン・カーターだが、ERBのヒーローものの定石でもあるヒロインの誘拐がやはりあって、ちょっと興ざめではある。舞台をバルスームから衛生フォボス(サリア)に移したのはなかなかのテクニックで、俗物の惑星と化しつつあった火星にあらためて異世界の雰囲気を導入できている。実はターザンの秘境もののテクニックの応用でもある訳なのだが。楽しめるからいいけど。

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