火星シリーズ11 MARS series 11

火星の巨人ジョーグ
John Carter of Mars(1964)

Illustrated by Motoichiro Takebe

厚木淳:訳/武部本一郎:画/地図野田宏一郎厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-11/1968.10.25初版/280頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 身の丈40メートルという雲を突く怪力無双の巨人が火星に誕生した。しかも、この巨人を背後であやつるのは奸智にたけた合成人間合成人間ピュー・モーゲルである。この巨人はいかなる肉体の損傷に対しても不死身であり、精鋭を誇るヘリウム空軍の攻撃も、ジョン・カーターの神速の剣技も通じない。いまや彼らはヘリウムのプリンセス、デジャー・ソリスを人質にし、大白猿の空挺部隊をひきいて、火星全土の征服に乗り出した。巨人とカーター、対決のときは刻々として迫る!

chapters/目次

「火星の巨人ジョーグ」

  1. 誘拐
  2. 捜索
  3. 巨人ジョーグ
  4. ねずみの都市
  5. 恐怖の部屋
  6. ピュー・モーゲル
  7. 空飛ぶ恐怖
  8. 爬虫類の穴
  9. ヘリウム攻撃
  10. 二千のパラシュート
  11. 大胆不敵な計略
  12. 国家存亡の時
  13. 大恐慌
  14. 冒険の終幕

「木星の骸骨人間」

まえがき
  1. ウ・ダン
  2. 木星(サスーム)のモルゴール人
  3. サバトール人
  4. わたしは売国奴になりたい
  5. 脱出
  6. フォ・ラル
  7. 闘技場にて
  8. ザノールへ!

characters/登場人物
「火星の巨人ジョーグ」
ジョン・カーター 地球人。ヘリウム帝国のプリンス。火星大元帥
タルス・タルカス 緑色人。サーク族の皇帝。カーターの盟友
カントス・カン 赤色人。ヘリウム空軍司令官
ラス・サヴァス 火星の大科学者
ピュー・モーゲル ラス・サヴァスが創った合成人間
「木星の骸骨人間」
ウ・ダン 赤色人。木星人に捕らえられる
バジャ ウ・ダンの恋人。木星人に捕らえられる
マルチス・パル 赤色人。ゾールの王子
バンドリアン 木星のモンゴール人(骸骨人間)の皇帝
ボリオン 木星のモンゴール人
ザン・ダル 木星のサバトール人。囚人
フォ・ラル
ハン・ドゥ

history/初出
John Carter of Mars,1964

comment/コメント

 火星シリーズ最終作。中編集で、贋作の疑いのある問題作「火星の巨人ジョーグ」(R・A・ルポフによればERBの息子であるハーバート・バローズの作であるという)と、最終話で、舞台を木星に移した作品「木星の骸骨人間」の2作が収められている。「ジョーグ」が発表されたのは「火星の古代帝国」より前のため、シリーズ番号としては10「ジョーグ」、11「古代帝国」、12「骸骨人間」の順番になる。ERBの死後、ペーパーバックにまとめられるまでは日の目を見なかった作品群でもある。
 物語としては舞台を木星に移して、これからというところで尻切れトンボに終わっている。戦争が激化し、従軍記者でもあったERBも多忙になり、その後は病床にふせったこともあってかかれずじまいだったのだろう。もっともその間もいくつかの作品を書きためていたことは知られているわけだが、意外なほどSF作品はかかれていないので、ERBとしては発表を前提としない、楽しんでかける作品を優先したのではないかと思われる。

<<BEFORE |||TOP>>


ホームページ | 作品リスト | 火星シリーズ / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11