火星シリーズ9 MARS series 9

火星の合成人間
The Synthetic Men of Mars(1940)

Illustrated by Motoichiro Takebe

厚木淳:訳/武部本一郎:画/火星用語辞典 東京創元社/創元推理文庫601-09 /1968.05.03初版/312頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

火星の大科学者ラス・サヴァスが作り出した合成人間たちは、ついにみずからの王国を建設して火星全土の征服にのり出した。ヘリウム海軍の青年将校ヴォル・ダーは彼らの手中にとらわれた愛する女性を救うべく、みずから合成人間に変身して死中に活を求めた。人間が愛と献身のため、自己の頭脳を醜怪な怪物に移植したとき、その人間は何を考え何を感じるだろうか? 怪奇と幻想、恐怖と戦慄のうちに展開するSF変身譚は作者バローズ快心の傑作として「火星シリーズ」中でもとくに高く評価されている。

chapters/目次

  1. ラス・サヴァスはどこにいる?
  2. 大元帥の使命
  3. 無敵の戦士たち
  4. 沼沢地の秘密
  5. 国王(ジェド)たちの審判
  6. 火星の大科学者、ラス・サヴァス
  7. 生命の培養器
  8. 赤色人の殺し屋
  9. ホーマッドになった男
  10. ジャナイ
  11. 七王の内紛
  12. 戦士の報酬
  13. ジョン・カーター消失
  14. 怪獣が成長するとき
  15. 大元帥との再会
  16. モルバスの皇帝(ジェダック)
  17. 進退きわまる
  18. 反逆の島
  19. 夜間飛行
  20. グーリ大王
  21. 決闘
  22. ファンダルめざして
  23. アムホールの虜囚
  24. 檻の中
  25. ガンタン・グルとの再会
  26. 計略
  27. 脱出
  28. 大艦隊の出現
  29. 再度、モルバスへ
  30. 二大世界の終焉
  31. 冒険の結末

characters/登場人物

ヴォル・ダー ジョン・カーターの親衛隊のヘリウムの士官。本編の主人公
ラス・サヴァス 火星の大科学者兼外科医
ジャナイ アムホールの美女。ヴォル・ダーの恋人
トル・ダル・バル ホーマッド(合成人間)
ティアイタン・オブ
ジャル・ハド アムホールの大公
エイマッド モルバス皇帝
ガンタン・グル アムホールの殺し屋
タン・ガン ガンタン・グルの体を手に入れたトル・ダル・バル
ウル・ラー ハストールの士官
ジョン・カーター ヘリウムのプリンス、火星の大元帥。別名ドタール・ソジャット
パン・ダル ファンダル出身の赤色人
ガン・ハド トゥーノル出身の赤色人
シトール モルバスの赤色人将校(デュサール出身)

history/初出

The Synthetic Men of Mars,Jan.7-Feb.11,1939,Argosy magazine
The Synthetic Men of Mars,1940,Burroughs

comment/コメント

オドロオドロしさでは火星シリーズ随一。化け物のような合成人間と、脳移植が簡単に行われるバルスームは、やはりERBの創造した異世界の中でも傑出している。ファンタスティックなのだ。ペルシダーはあくまで地球だし、アムターも大航海時代の地球のようだが、やはりバルスームだけは違う。R・E・ハワードの世界に近い? ヒロイック・ファンタジーだというと、ファンは怒るのかもしれないが。

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